許認可が必要な事業では、会社を設立しただけで営業を始められるとは限りません。会社設立登記は法人格を作る手続きであり、飲食店営業、酒類販売、建設業、宅建業、職業紹介、派遣業などの営業許可・届出・登録とは別に確認する必要があります。この記事では、許認可が関係する事業で会社設立前に確認したい順番を、2026年5月時点で確認した公的情報を前提に整理します。
登記と営業許可を分けて考える
会社設立で最初に押さえたいのは、登記が完了しても営業規制の確認は終わらないという点です。
商号、本店所在地、事業目的、役員、資本金などを決めて会社を設立しても、業種によっては所管官庁、自治体、警察署、保健所、税務署、地方整備局などへの手続きが別に必要になります。たとえば、厚生労働省は食品衛生法上の営業許可・営業届出に関する情報を公開しており、国税庁は酒類の製造・販売業について免許制度を案内しています。国土交通省も建設業や宅地建物取引業などの許認可・登録情報を公開しています。
事業目的は許認可から逆算する
許認可が関係する事業では、定款の事業目的を「やりたいこと」だけで書くと足りない場合があります。
事業目的は会社の登記事項に関係し、金融機関、取引先、許認可窓口も確認することがあります。許認可申請で求められる表現や営業内容とずれていると、設立後に目的変更登記が必要になることがあります。飲食、酒類、建設、不動産、人材、運送、医療・介護、古物、廃棄物などは、設立前に所管窓口の情報を確認し、必要に応じて行政書士や司法書士に相談します。
本店所在地と営業所を確認する
許認可では、本店所在地だけでなく、実際に営業する場所や営業所の要件が問題になることがあります。
会社の本店を自宅、バーチャルオフィス、レンタルオフィスに置けるかという登記上の話と、許認可上その場所で営業所として認められるかは別です。建設業では営業所の所在や許可行政庁、宅建業では事務所や専任の宅地建物取引士、食品関係では施設基準や保健所の確認など、業種ごとに見るポイントが変わります。
スケジュールを逆算する
許認可が必要な事業では、会社設立日よりも営業開始日から逆算して準備します。
会社設立後に申請する手続き、会社設立前に物件や設備を決めておく必要がある手続き、資格者や責任者の配置が必要な手続きがあります。審査期間、補正対応、現地確認、証明書取得、専門家への依頼期間を見込まずに開業日を決めると、契約済みの店舗や人件費だけが先に発生することがあります。
相談先を混同しない
許認可が絡む会社設立では、相談先の役割を分けて考えることが大切です。
会社の設立登記や変更登記は司法書士、税務届出や税務判断は税理士、許認可申請は行政書士、社会保険や労働保険は社会保険労務士が主な相談先になります。実際の案件では複数の専門家が連携することもありますが、誰がどの業務を担当するのかを契約前に確認します。
設立前チェック
許認可が必要な事業では、会社を作る前に「設立後すぐ営業できる状態か」を具体的に確認します。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 営業内容 | 許可、届出、登録、免許の要否 |
| 事業目的 | 申請予定の営業内容と定款の整合 |
| 場所 | 本店、営業所、店舗、施設基準 |
| 人員 | 資格者、責任者、常勤性、雇用予定 |
| 時期 | 設立日、申請日、営業開始日の順番 |
