個人事業主から法人化する場合は、会社を設立するだけでなく、個人事業側の整理も必要になります。売上、契約、資産、借入、税務、社会保険の扱いを確認しないまま進めると、設立後の会計や取引で混乱しやすくなります。この記事では、法人成り前後の流れを整理します。

法人成りとは

法人成りとは、個人事業として行っていた事業を法人で行う形に切り替えることです。個人事業主と法人は別の主体なので、単に名前を変えるだけではありません。

法人化すると、会社設立登記、税務署への法人設立届出、社会保険の確認、法人口座の開設などが必要になります。一方で、個人事業側では廃業届や最終年分の確定申告、資産や契約の整理が関係します。

会社設立を進める

まずは、株式会社か合同会社かを決め、商号、本店所在地、事業目的、資本金、役員、事業年度を整理します。個人事業の屋号をそのまま使う場合も、商号として登記できるか確認します。

株式会社では定款認証が関係し、合同会社では定款認証が不要とされています。登録免許税や定款認証に関する費用も法人類型によって変わります。個人事業の取引先に説明しやすい法人名や事業目的にすることも大切です。

個人事業の廃業届を確認する

個人事業をやめる場合は、税務署への廃業届を確認します。国税庁は、個人事業の開業・廃業等届出書について案内を公開しています。

国税庁の廃業する場合の案内では、個人事業の開業・廃業等届出書について、廃業した年分の所得税の確定申告期限までの提出が示されています。青色申告や消費税、給与支払がある場合は、別の届出が関係することがあります。個人事業の最終年分の申告も忘れずに確認します。

資産と契約を引き継ぐ

個人事業で使っていた資産、契約、在庫、借入、ウェブサイト、顧客契約を法人へどう引き継ぐかを整理します。ここは税務や契約実務に関係します。

パソコン、車両、備品、在庫、売掛金、買掛金を法人へ移す場合は、売買、現物出資、賃貸、使用貸借など複数の考え方があります。どの方法がよいかは税務と登記の両方に関係するため、税理士や司法書士へ確認します。

社会保険と役員報酬

法人化すると、代表者が役員報酬を受ける場合などに社会保険の確認が必要になります。個人事業時代の国民健康保険・国民年金とは扱いが変わることがあります。

役員報酬の金額は、税務と社会保険料の両方に影響します。設立直後から給与を支払うのか、いつから支給するのかを税理士や社会保険労務士に確認します。従業員を引き継ぐ場合は、雇用契約や社会保険、労働保険も整理します。

法人成り前のチェック

法人成りは、会社を作る手続きと個人事業を閉じる手続きが重なります。先に一覧化しておくと漏れを減らせます。